心集詞

人はことばとともにうまれた
ことばが人の存在をうみだし、ことばによって生かされていた
人はことばをつかさどるのではなく、常にことばに支配されている
或意味なんと不自由な存在なのか、人は

心象を表すことばが人の心をうつ
歩道にのびた影に哀愁を感じることば
月に我が身の不運を重ね合わせることば
そのことば一つ一つに心を感じ、胸うたれる
ともすれば、一度も経験したことすらないのに

人がことばをあやつろうと涙ぐましい努力を続けるのは
己の心を肉体という入れ物から解き放とうと欲するから
心を見せあうことができない不自由な存在である人は
交わることだけが親愛を示す方法だと信じているが
あまりにもその行為は愚かしく
いずれは衰滅の道を歩むのみ

私は何処からも束縛されることのない存在になりたい
ことばからの解放をはたしたとき
私は人という存在からも解放される
その瞬間を目指し、私はことばを集め続ける