人魚姫

海底から見上げた空は いつも眩しかった

人を妬む事でしか 自己を満足させることができない
自分の過ちを 誰かにあたることでしか認める事ができない
誰かを愛する実感よりも 誰かに愛される実感が欲しい
何よりも幸せを求めながら その幸せをどう掴めばいいのかが分からない
不器用なだけなのに

世界はまぎれもなく存在しているのに
なぜ、私の居場所だけが許されないのだろうか
笑いあう人たちを横目で見ながら 私は笑う事すらできない
声すらなくしてしまったかのように

言い知れぬ不安は常に私を締め付ける
まるで私をどこかに引きずり込むように 強く

私は幸せを求める 一人の旅人
どこにあるともしれない 幸せの花を求めて 今日もさすらう旅人
幸せは手を伸ばせば届くところに いつも転がっていると誰かが言ったけれども
私は その手を伸ばす事すらできない
押さえ付けてくる存在によって

私は人魚姫
幸せを求め 声をなくした哀れな存在
私は人魚姫
このままでは 泡となって消えていくだけ
私は人魚姫
でも 私がいない世界で誰かが幸せになる事はゆるさない

私は闘う人魚姫になりたい
幸せを自らの手で勝ち取ろうときめた一人の戦士
だれにも知られずに消えていきたくないから

海底から見上げる空に 今手を伸ばし
この水底に引きずり落とす