ランス

 君は壊れてしまいそうに繊細で
 それでいて誰よりも強くありたいと願っている
 でも、独りで生きていく事を願いながらも
 それができないことが腹立たしくて
 今日も歯をくいしばっている

 戦う時を知ってはいるけど
 戦う武器を手にできなくて
 誰かの影でおどおどしながら
 誰かが切り開いた道を歩く

 悔しさは声にすらできない
 寂しさは涙にすら変わらない
 ただ、歯をくいしばって明日を待つだけ

 消滅の憧れを消すこともできない
 でも誰よりも世界を愛している
 戦う意志を持ちながらも
 武器がないから戦えない

 誰かが握りしめていた
 ランスを拾ってかかげても
 光は鈍く反射して
 君の体を照らしはしない

 錆びた鎧を突き抜けて
 君は今日も血に染まる
 誰かが救いを差し伸べても
 君は黙って振払う

 それでも行くというのなら
 僕が君の盾になる
 君が傷つくその前に
 黙って君の盾になる
 戦う意志を持つものは
 いつか必ず勝利する
 その日がくるまで歯をくいしばり
 明日に向かって歩いていけ
 僕は君の盾になる
 崩れ落ちても君を守る