暑い夏をこえて 君が年を重ねて恋をしたとき 君はどれ程自分が望まれて生まれてきたかを知るだろう 君の中であの人の息吹を感じる事ができるだろう そして 君がどれだけ愛されていたかを知るだろう 君が生まれ落ちた世界は幸いな事ばかりではない 或いは苦難に満ちた長い旅が始まっただけかもしれない 君は幾度も路に迷い 挫け 倒れ 涙を流すはず 寄り掛かる壁さえなく 雨を防ぐ傘さえなく 足を引きずりながら歩む日もあるだろう 人生を呪う事もあるかもしれない 僕がそうだったように その時こそ感じてほしい 君の中に流れるあつい血潮と息吹きを 君をこの世界に送りだすために 命を投げ出した人の事を 君はこの世界に望まれて生まれてきたのだ 誰かを愛したいと思ったとき 君を愛してくれる人がいたことを 思い出してほしい 君が生まれた八月を あの長く暑く 歓喜と絶望が共に訪れた八月を 君は決して忘れてはいけない 旅は今始まった 全て君の望む世界になる 君があの人から命を引きついだように 僕が彼女の心を引き継いだから 今は眠れ 長い旅を乗り切る 一瞬の安らぎの時間に |