母親になる君へ

母親になる君へ
君と暮らしたこの一年 
はじめて二人ですごしたこの一年
僕にとって どんなに満ち足りたものだったか

母親になる君へ
君が僕の愛を宿した時
僕は涙がとまらなかった
やっと 君と一つの命になれたような気がしたから

母親になる君へ
母親になると決めた君の顔は 誰よりも美しかった
有史以来 これ程美しい顔をした人は
きっとどこにもいなかったはず
それは おそらく新たな命を宿した君に
神の祝福が溢れていたから

明日にも運命の一日が訪れる今
僕の心は張り裂けそうだ
今はまだ父親になる自覚すらない僕が
どのように変わっていくのだろうか
僕はまだ子供の顔をして
ただ君に寄り添っている事しかできないのに

それに引き換え君の表情はどうだ
君は胎内に命を宿した瞬間に
もう 母の顔になっている
何よりも愛しそうに
自分の腹をなでる姿にはもう幼さはない
おそらく 君はもうその子のために
命をかける覚悟すら出来ているのだろう
生まれおちてさえいない
まだ見ぬわが子に

さぁ 早くこの世界に足を踏み入れておいで
君をこれだけ愛している人の元へ